キミの名は。#1
「気になる、あのヒトの一冊」
高知県西部、幡多の女性へ情報発信するフリーマガジン「Sirop」を皆さんはご存じでしょうか。前号である #06 より「キミの名は。」を連載させて頂くことになりました。
今回は本についてもう少し掘り下げるという内容にしたいという事で弊社ブログにまとめる事にしました。
撮影は宮下幸喜さん、インタビューは山沖大祐が担当しています。モデルとして参加頂いたのは、”はなえ”さん(22)です。それではインタビューをスタートします!
▼IT(それ)と呼ばれた子 著書デイヴ・ペルザー
もう何度読み返したのか分からない
―今日、持ってきて頂いた一冊はどなたの本でしょうか。
「デイヴ・ペルザ―著書の『IT(それ)と呼ばれた子』という一冊です。」
―その本を読み始めたキッカケから聞かせて下さい。
「姉が読みよったと思うのですが、ハッキリと覚えてないんです。気付いた時には絵本のある本棚にあって最初は表紙に惹かれて読んでみようかなという感じでした。」
ーそれは何歳の時ですか。
「小学5年生です。その時は題名の意味も分かってなかったです。面白そうという感覚もなく、何気なく読み始めた感じです。」
―この本は何回ぐらい読んだのですか。
「小学5年の時に初めて読んで、6年生までに3~4回くらい読んで中学校に入ってからも数回読んで8回くらいは読んでるんじゃないかと思います。高校に入ってからはそんなに読んでないですね。」
自分とはまったく違う人生を、本を通して触れる
ーそれでは、本の内容について教えてください。
「作家さんが小さいころに虐待された体験を赤裸々に綴っている自伝小説です。アメリカで出版されて世界中でベストセラーになっていて、州史上最悪と言われる虐待事案らしいです。」
ーどうして小学生のはなえさんがそこまで、この本に惹かれたのでしょうか。
「内容は過激でした。自分の当たり前の生活の中では絶対に考えられないような出来事ばかりが綴られてるんですよ。自分の知らない『生きるのさえもしんどい』世界を見る事になんかハマって読んだのが最初です。読み始めた時に虐待に関するニュースをテレビで見て『大人でも子供でもない、でも助けたい。』という気持ちになりました。小学校5~6年生くらいのちょっとお姉さんになりかけみたいな年頃で『こういう事も本当にあるんや』みたいな。最初は本の内容に衝撃的やったけど、よく考えたら現実に起こってるんやなという感じで何度も繰り返し読んだと思います。」
この本との出会いが、現在の仕事につながる
ーこの一冊を通じて、その後の人生で何か影響を受けましたか。
「何度も繰り返し読むようになって、この本がキッカケで児童分野で養護施設とかで働きたいと思って社会福祉士の資格を取ったんです。今の仕事は精神保健福祉士ですけど、今の仕事に結びついた最初の本ですね。」
ーもう、それは運命の一冊ですね。
「本当にあのあと何冊もいろんな本を読んできましたけど、今に一番つながってるので、しばらく読んでなくても忘れることはないですね。今となっては内容も頭に入ってしまっていて繰り返し読むことはないですけど、それでもあの時の従順な心で読んだことを思い出してます(笑)。」
―ノンフィクションが好きなんですか。
「事件的な内容とかミステリーが好きなわけでもなく、あの本だけです。今の私があの本に出会っても、そんなこと思ってなかったかもしれない。出会った年齢と身の回りで起きたタイミングとか、自分がハマりやすかった年齢やったんでしょうね。最初は難しかったです。全然理解できなくて、漢字も多いですし。」
ー今でも読み返しますか。
「読みますね。内容もほとんど理解してるので、自分がもう一回読みたいなという章だけを開いて読むような感じ。」
彼女が抱える意外な悩みとは
―毎日の仕事はどんな事をしてるのですか。
「仕事内容としては精神疾患や認知症がある患者さんの入退院の手続き支援と日常生活における些細な困り事があった時の相談援助です。退院時に通常通り家に帰れたらいいですけど、なかなかそうはいかない方もいるので高齢者であっても若者であっても施設へつなげたりですね。」
ーはなえさんはしっかりしてるから、年上に見られますよね。
「結構それが悩みでして、一番言われる年齢が28歳。28歳は大学4年になった時からずっと言われてて。20歳になる前までは童顔だったので16歳くらいって言われてたのに、20歳になった瞬間から28歳がすごい言われるのが一番多くて、ここ最近の最長は36歳(笑)『指輪してないんやね』とかよく言われます。」
photo by koki miyashita
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※この記事は9月発刊予定の「Sirop #07」に掲載予定です、ぜひご覧ください。