ーお客さんにとって、くつろげるお店でありたい。
四万十市で女性を中心に人気のカフェ「Antiquey Bake&Galley」を訪ねました。2018年9月にオープンしてから3年目を迎えます。店主の野村宏海さんは看護師を経て、どうしても自分のカフェをやってみたいと一念発起して起業。手探りの中を必死で模索しながら珈琲とケーキや雑貨まで幅広く取り扱っています。現在では様々なオーダーを頂く事も多くご多忙の様子。こだわりの珈琲豆やお菓子作りのお話から看護師として患者さんと向き合う中で事で気付けた人との触れ合い。これまでの仕事を振り返りつつ、これからの展望をお聞きします。
▼店主の野村宏海(のむら ひろみ)さん。 1980.11.13生まれ
―こだわりの珈琲豆について教えてください。
「徳島市のアアルトコーヒーの庄野雄治さんの焙煎している豆を扱わせて頂いています。カフェ巡りが好きで、その中で出会ったのがこの豆でした。すっきりとした飲みやすさがとても気に入り、パッケージ裏に記載されてある連絡先にメールで豆の取り扱い方法とハンドドリップを教えて欲しい旨を送りました。そしたら返信が来て『徳島まで来てくれるなら。』と快諾してくれたんです。」
▼キャラメルナッツのタルトとカフェオレ。
―実際にお会いした庄野さんはどんな方でしたか。
「庄野さんはコーヒーの魅力に惹かれて、大量のコーヒー豆を購入し焙煎士になった方です。第一印象は物静かだったけど、珈琲に対する情熱を感じました。深い知識を持っているのに、決して驕ることはない。庄野さんが教えてくれたのが『コーヒーを淹れる時に一番大事なことは、楽しく笑顔で淹れること。天気や体調などで味の感じ方が変わるから、色々と考えながら難しい顔をして淹れたコーヒーが美味しいわけがない。』緻密な焙煎で飲みやすいアアルトコーヒーは、庄野さんそのものだと確信しました。当店では中深煎りと深煎りを取り扱っています。飲み終わった後に、豆を購入して帰る方や定期的に買いに来店される方もいます。」
▼チョコピスタチオのパウンドケーキとオーガニックハーブティー。
―プライベートで好きなお店があれば教えてください。
「アアルトコーヒーの豆と出会ったお店がテルツォテンポさんです。飾ってない雰囲気が好きですね。キラキラした感じではない、味のあるお店と店主に共感しました。音楽の事も詳しくて、お店で流れてる音楽を聞いたら教えてくれますよ。お店で流しているCDも購入出来ます。」
―お菓子作りについても教えてください。
「小学生の頃からクッキー作りをしていて、20代にお菓子作りを再開したんです。原料のこだわりは北海道産小麦粉、バター、チーズ、無添加クリーム、きび砂糖などを使用しています。学校に行った経験は無く、本を片手に試行錯誤しながら、野生の勘も頼りにお菓子作りをしています(笑) 自分のつくったお菓子で喜んでくれたり、記念日のケーキをオーダーして頂くと、とても勇気づけられますね。」
―ハンドメイド雑貨についてはいかがでしょうか。
「ピアスやドライフラワーやリースなどを手作りしてお店に並べています。元々DIYが好きで店内の出来るところは全部自分で行いました。オーダーピアスの制作途中にパーツが無くなったり、方法が分からない場合には工具を使って自己流で仕上げることもあります。最近は独学でウィービング(織物)も始めました。」
―来店されるお客さんはどんな方ですか。
「女性が多くて、たまに男性が一人でフラッと来るときもあります。男性が来る場合は彼女さんや奥さんと一緒ですね。新しいお客さんもいますし、オープンから2年経ちましたが、私と話したいと言ってくれる方もいて、段々とリピーターも増えてきました。」
▼ドライフラワーのスワッグ。
―看護師から転職して、カフェを始めた理由を教えてください。
「看護師の仕事も好きでした。小児科、NICU、外科を経験しました。NICUでは、元気に生まれてくることは決して当たり前ではないことを学びました。小さく生まれた赤ちゃんにそっと手を触れ包むことで安心を与えられる。外科の終末期では、人生の最期を生きる場所としての病院のあり方や命の尊さ、最期の迎え方の自己決定や家族の役割などを教わりました。癌で痛む場所をさすることで痛みが軽減したり、手を握ることで死への不安を一瞬でも和らげることが出来るんです。人の手の無限大の可能性を感じました。やりがいもあるけど、疲労もたくさんあった。そんな時に自分を助けてくれたのがカフェでした。」
▼同じ誕生日の有名人は木村拓哉さん。
―カフェで感じた魅力を教えてください。
「素敵な食器や美味しい食べ物に胸が高鳴って、癒されました。いつしか自分がその空間を提供する側になってみたいと思うようになってきたんです。自分の手で作り上げた物、そして場所が表現出来ることで自信につながる。自信がなくて、人見知りな自分を変えたい思いもあって、思い切って開店に踏み切りました。」
▼築60年の古民家を改装した店舗。
―実際にお店をやっていかがでしたか。
「これまで患者さんと接することで身につけたものをカフェへ置き換えて、おもてなしをしていきたい。落ち込んだ時に飲み物を飲みながら、ほっと一息つけるような癒しの空間を提供したい。自分の家に帰る様に気軽に立ち寄ってくつろげる場所となることが目標ですね。」
Antiquey Bake&Gallery
[open] 12:00-17:00
[close] 月・火・金曜日
〒787-0025 高知県四万十市中村一条通2-5
[ t e l ] 080-4030-6616
[Instagram] @antiquey.bg
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※この記事は2020年1月発刊予定の「はたも~らVol.60」にも掲載予定です。是非ご覧ください。