「美味しいうどんを作ることで、もっと地元の方に広く浸透していきたい。」
四万十市佐岡で人気のうどん店を経営している毛利製麺(株)代表の毛利仁人さん(49歳)を訪ねました。毛利さんはうどん工房『麦屋』店主としてお店を続ける傍ら、国産小麦100パーセントにこだわった麺を通信販売事業も手掛けています。サラリーマンだった毛利さんが起業したエピソードから始まり、ブランディングや接客サービス、そして地域の皆さんに来て頂くための取り組みについて語って頂きます。
▼毛利仁人(もうりよしひと)さん。好きな映画は「レオン」
―うどんの製造を始められた経緯を教えて下さい。
「西土佐にアロエの工場がありまして、前職は営業をやってました。退職してからはフリーで営業をやっていたのですが、2年後に西土佐にあったうどんの製麺工場が撤退することになって、父が当時は役場に勤めていたので『ちょっと、やってみないか。』と声が掛かって引き受けました。26歳でまだ若かったので、うどんのことは全然やったことはなかったけど、自分がやったら上手くいくんじゃないかと思って始めましたね(笑) 始めたのはいいけど、最初はかなり大変でした。」
―国産小麦100%の麺を提供する理由を教えて下さい。
「私が製麺工場を引継ぐ以前から国産小麦100%でやられてたので、そのまま引き継ぎました。最初は製麺所からスタートしまして、製麺所がうどん屋を始めたんですね。当時は麺を作って冷凍で通信販売で売り上げを立ててました。国産小麦100%の冷凍うどんは当時はほとんどありませんでした。田舎でやるにあたって、よそと同じようなことをしてもダメだということで特化していきました。」
―閉鎖する製麺所を引き継いで、利益は出たのでしょうか。
「利益を出すために、価格設定の見直しを行いました。でも、高いだけの商品だと売れませんよね。価格に見合う商品である事が最も大切ですが、パッケージやHPの紹介文などを見直してブランディングを見直すことで商品価値を上げることが出来たのだと思います。」
▼名刺はその人の第一印象をつくる大切なツール。
―商品に対するこだわりや情熱がホームページからも感じられますね。文章も毛利さんが考えたのでしょうか。
「HPは自分で考えています。田舎の小さな会社だけどHPがしっかりとしていたら、ちゃんとした会社だと思って頂けると思いますから。名刺にもこだわりを持っていますが、名刺をお渡しするのは地元よりも出張先がほとんどです。初対面の相手に対して、ちゃんとした会社だったり自分自身の第一印象を正しく伝えるための大切なツールだと考えています。名刺にお金を掛けられる会社であることも信頼にもつながると思いますし、製品に対する思いも伝わっていたら、嬉しく思います。」
▼「国産小麦100%、天日塩、天然水」を使用し、素材にこだわったうどん。
―通信販売で利益を上げる仕組みがあるにも関わらず、直営店を行う取り組みについて聞かせて下さい。
「実はコロナの時は非常にお店に助けられました。ウチは業務用の卸しもやっていますから、コロナ初期は居酒屋やホテルなど夜に営業しているお店への出荷が8割減となりました。そんな時、直営店へ来店して頂いた事で製造スタッフの仕事も確保する事が出来ました。店舗を始めた開店当初の営業時間は2時間でしたが、段々と営業時間を延ばして毎日営業にしていきました。建物自体は古いですが、清潔感には配慮していますので、女性やお子さんもご一緒に来てくれると嬉しいですね。製麺という本体がある会社だからこそ、お店で利益を出すことにとらわれず、人が人を呼ぶというように、一番最初に地域の人に知ってもらいたい。お店を利用してもらいたい。そういう思いの価格設定です。自分たちは得意な美味しいうどんを作って、多くの人に食べてもらうことで地域貢献できると信じています。」
▼肉うどんを食べるドヤ顔の杏(あんず)さん。家族で麦屋さんに通っている麦屋ファンの一人。
―接客サービスも印象的ですが、従業員の皆さんにはどのように伝えていますか。
「15年位前に高知市内でうどん屋を出していたんですよ。その時に働いてくれたスタッフの接客がすごく良くて、こんな接客されたら気持ちいいよねと思ったんですよ。個人商店の接客に寄り過ぎると、たまにしか来ない方が疎外感を受けると思うんですね。大手のチェーン店と個人商店の中間くらいが心地良いんじゃないかなと思っています。『いらっしゃいませ。』や『ありがとうございました。』を言われて嫌な人はいないと思いますし。お客さんがお店を出る時には一声かけましょうという事はいつも話しています。」
―これからの事業展開についても聞かせて下さい。
「関東でウチのうどんを全面的に使って店舗展開をする会社さんと契約して進めています。四万十で作った麵をより多くの方に食べて頂くチャンスです。一緒に働いてくれる人数も必要になるし、四万十の職場の提供になるように、たくさんの麺を作ってたくさんの方に食べていただく仕組みが出来るようにしたいな思っています。女性の方でも働きやすい職場だと思いますので、ぜひ一緒に働いて頂きたいですね。」
―毛利さんの休日は何をして過ごしていますか。
「色々ですが、トライアスロンもやってましたし、現在は登山やマラソンをやってますね。もともと高校時代から何か企画してイベントをすることが好きなんですよ。喜んでくれるとすごく嬉しいじゃないですか。今はスポーツをしているので自分で大会を開いたりとか、サイクルイベントなどの運営に関わったりしています。運営に関わったりしています。愛媛県がサイクリングを盛んにやっているので、県境のサイクリストの代表になってます。登山して山の上でアツアツのうどんを食べるという企画「お山 de うどん」を行っています。家庭用のカセットコンロを持ち込んで十数人を連れてあったかい鍋焼きうどんを山頂で食べる。そういうのが僕の趣味です。」
四万十うどん工房 麦屋
〒787-0009 高知県四万十市佐岡541
営業時間 11:00~15:00
定休日 なし
TEL 0880-34-8031
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※この記事は2023年4月発刊の「はたも~らVol.69」にも掲載予定です。是非ご覧ください。