『料理人として大切にしている想い』
今回訪れたのは宿毛市で開店して12年目を迎えた四川料理店「中華旬菜 水滸(すいこ)」。店主の柏原さんは熊本県のホテルで修行を積んだ後、地元の宿毛市で念願のお店をオープンしました。営業時間にはいつも満席状態の人気店です。赤を基調とした店内には、県外から揃えたスパイスがところ狭しと並んでおり、メニューを見るだけで食欲がわいてくるのを感じます。店主が大切にしている”できる限り添加物を使わない”こと。何気なく口にしている食べ物が様々な影響を及ぼすことについて、食育の観点からも考えていることをお聞きしました。
▼店主の柏原 日出輝(かしはら ひでき)さん(45) 趣味:多肉植物を集めること
―お店の名前の由来を教えてください。
「水滸という名前は、水の都という意味です。宿毛市は干ばつもなく、水が豊富な場所で川も流れています。中国の『水滸伝』という水辺の物語から拝借して、名付けました。」
―お店づくりのこだわりはありますか。
「好きな小物をレイアウトすることで、食べ物が出てくるまでの待ち時間も楽しんで頂けるようにしています。いろんなお店に行って、自分たちならではの個性を出せたらと思ってます。」
▼客席はカウンター席とテーブル席が4席をご用意。
▼スパイスは広島、福岡、神戸から調達している。
―開店まではどちらで修行してこられたのでしょうか。
「熊本県内のホテルにある四川料理店で12年間働いてました。ホテルの厨房は完全に客席と隔離されてるので、ホールに出たことはほとんどありません。デパートのバックヤードで働いたこともありますし、ホテルの時も地下だったんですね。だからずっとモグラみたいな日々(笑)。そのうち体も悪くなりそうな気もしたし、どんなお客さんがきてるのかも知らずに『自分はこのままで良いのかな。』そんな気持ちが日増しに膨らんでいくのを感じました。例えば、自分が失敗した料理を出して苦情がきたとしても、それを処理するのはホールのスタッフじゃないですか。お客さんがどんな表情で食べてるのかも分らんかった。店内は半オープンキッチンで、太陽の光も多少入るのでストレスはなくなったと思います。働く環境も大事なのかな。」
―辛いメニューについても聞かせてください。
「嫁がすごい辛いのが好きなんで少し多くなってるかな。僕は苦手なんですけどね(笑)。お客さんや嫁から”辛さ番付”をやりたいと提案があったり、辛いメニューが欲しいと最初の頃にリクエストがあって少しずつ増えていきました。宿毛ではウチで使ってる調味料や醤油は濃いめみたいで、”これは宿毛ではウケない”とお店を始める以前にはそういう声も耳にしました。実際にはそうでもなくて、だいぶ受け入れられたかなと思います。」
▼盛り付け、味、調味料にもこだわった『汁なし担々麺(980円)。
▼グツグツと音を立てながら登場する熱々の『石焼き麻婆丼(1,200円)』。
―添加物へのこだわりについて聞かせてください。
「料理をしているので、昔から関心がありましたね。個人的に添加物に抵抗があったので、オープン時から徐々に添加物を減らしてきてて、お客さんの反応を見ながらですが添加物をなくしてもいいんじゃないかなと思っています。中華料理で無添加というのは、珍しいと思います。将来的には化学調味料ゼロの中華料理屋も面白いのかなと考えています。」
―メニューの『子供にも安心して食べられるもの』という点についてもお願いします。
「食品添加物は蓄積されていくものなので、子供に食べてもらうというのは特に抵抗感がありました。食事が身体にいろんな影響を及ぼすと考えているので、これからの若い人たちに微々たるものですけど、食育という観点からも大事なことじゃないかな。料理屋として矛盾してる部分はあるかもしれないけど、常にそういう葛藤はあります。」
▼写真は苦手だと笑う柏原さん。
―これまでに大変な時期はありましたか。
「コロナの時期は営業自粛要請がありお客さんが減ってしまって大変でしたが、うちも料理をしないと食べていけないので、何ヶ月間かはテイクアウト専門という時期もありました。そこから2年くらいは結構厳しかったですね。最近ではコロナ前の状態くらいまでには戻ってきています。ただ今度は、物価高ですよね。店を始めたころからでいうと原価が倍以上になったものも少なくありません。かといって価格を倍にはできないので、そこはなかなか厳しいところです。」
―これからの『水滸』とは。
「これからの店としては現状維持ですね。食事が身体にとっていろんな影響を及ぼす話をしましたが、情報もアップデートしていくので少しずつメニュー作りも変わってくると思う。身体は食べた物、飲んだ水、吸った空気で出来ているので、子供達にも安心して食べて貰えるような料理をこれからも提供していきたいです。」
▼ザクザクした食感とピリッと辛い、自家製スパイス「香辣粉」が乗った『ピリ辛唐揚げ(950円)』
▼とろろを入れることでまろやかな味わいに変わる。麺にもよく絡むスープが美味しい『とろろ担々麺(1,050円)』
中華旬菜 水滸 -SUIKO-
〒788-0010
高知県宿毛市駅前町1丁目204
[Tel] 0880-63-3540
[営業時間]
昼 /11:30~14:30(Lo 14:00)
夜 /17:30~21:30(Lo 21:00)
定休日 / 月曜の夜・火曜・毎月第2水曜
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※この記事は2024年10月発刊の「はらも~らVol.75」に掲載予定です。ぜひご覧ください。