「高知の本場へ出店して、一八の魚で勝負してみたい。」
土佐清水市のあしずり港が一望できる養老に店舗を構えて2年目に入った「鮮魚 一八(せんぎょ いっぱち)」さんを訪ねました。店主の山下敬二さんは10年間、鰹の一本釣り漁船の乗組員をしていた経験を活かして、新鮮な藁焼き鰹のたたきを生のままで全国発送しています。ランチメニューでは新鮮な魚がリーズナブルに食べられると、インスタグラムや人気雑誌へ掲載されることで週末は行列の出来る賑わい振りです。人前で話すことは恥ずかしいと笑顔を見せながら、話し始めると饒舌で軽快なトークが止まらない店主の山下さんに美味しさへのこだわりやこれからの展望について、ざっくばらんにお聞きしました。
▼店主の山下敬二(やましたけいじ)さん。たまの趣味はゴルフ。
―以前はリニューアル前の”道の駅めじかの里”に出店されていたんですね。
「4年間くらい出店していました、リニューアル以前は日本一静かな道の駅と言われてたんですよ。そこで魚を切ったり、焼いたりして刺身やたたきがメインでパックに入れて売っていました。イカの天日干しをやったらテレビや新聞の取材が一気に取り上げてくれたおかげで一日に最高で600枚売れました。その時は連日寝ないままで仕事やって、駐車場が満車になって国道まで並んでました。」
―現在のお店のスタイルに至るまでの経緯を教えてください。
「道の駅にも食堂があったんですけど、午後2時までやったんですよ。清水のお店がどこもランチが2時までだったから、観光客が来てくれても食べるとこがない状態やった。そのランチ難民をちょっとでも解消できたらなと思うて、鮮魚一八では午後4時くらいまでやってます。せっかく港町にきてくれた人達に美味しい魚を出そうという事から始まった。」
―ランチメニューがリーズナブルですが、何か秘密があるんでしょうか。
「あんまり利益を取ってないからじゃないですか(笑)。ランチの営業以外に、鰹のたたきを全国に生のまま発送してるんです。あとは、九州、栃木、大阪、神奈川に僕のたたきを使って提供してくれる飲食店があるので定期的に送っています。個人はリピーターのお客さんが多く、ほどんどインスタグラムからの受注です。月に400~500件の受注があります。」
―山下さんが自分で料理を作るのでしょうか。
「自分一人で魚を切って、藁で焼いてます。最近は従業員が箱詰めしてくれたり、真空パックに詰めてくれたりします。でも鮮魚一八の魚は僕が切らんといかんと思いようので。」
▼店の前で日々、藁焼きを行っている。
―メニューのこだわりを教えて頂けますか。
「冷凍は絶対に使わないことですね。他の店が出してないものを出したいっていうのはあるので、あまり見かけないトカキンという魚、『何やろう?』と思うものを出していきたいですね。みんなに知られてないけど美味しい魚は市場で安く手に入ります。安いのを安く買っても面白くないんで、それをあえて高く買って、漁師に還元したい。」
―インスタグラムも大人気ですね。
「普段の投稿はカツオと店のことしか出してないんです。それでフォローしてくれる人が増えて、あんまり減らないので興味ある人しかおらんのかなと思うて。最初は「インスタってなんやろう?」というところから始めて、僕の親戚にインスタグラムに詳しい子が居て教わりながら、今はフォロワー1万人を目指してます(笑)。」
▼藁焼きの香ばしい香り、まずは塩のみで。カツオのたたき丼(+300円盛り)
▼透明感のある新鮮なかんぱちをご飯と一緒にほおばりたい。かんぱち丼(+300円盛り)
▼キリっとトロッと脂がのったぶりをたくさん食べられる幸せ。ぶり丼(+300円盛り)
―どのサイズが人気ですか。
「ランチのお客さんは2盛り(+300円)が人気ですね。今のところ最高は大盛の4盛りを食べた人がおって、それを『だれか挑戦しませんか』とインスタグラムに載せたら、コメントが来て今度お店で挑戦するそうなので大きい皿を用意しとこうかなと思ってます、負けたらダメなんで(笑)。かつお一匹分くらい入れたろう思ってます。ただ、最近はこれをSNSへアップするために注文して、半分残して帰る人が多くなってきて、それだと勿体ないじゃないですか。それで食べきれない場合は罰金1000円を作ったんですよ。1品頼んで2人でシェアしてくれてもいいので、そこはお願いしたいですね。」
―素敵な盛り付けですが、どうやって考えたのでしょうか。
「最初は500円でプラスチックの入れ物で出してたんですよ。その後にお皿で出したいと思って、出してみると量も増えるので800円に上げて、今は1000円です。これ以上は上げずにいきます。偶然入った飲食店の盛り付けをヒントに「これやろう!」と思って、たたきをどんぶり全体に広げる盛り付けにしました。そこに花と高さがあると映えると思ったんです。玉ねぎで高さを出して、たたき丼以外のメニューは刺身で魚の花を表現しました。」
▼何を選べば良いのか迷ってしまう充実ぶり。
―ランチ以外にもイベントをやっているそうですね。
「第2土曜日の夜はビアガーデンを午前11時からお客さんが帰るまでやってます。ひろめ市場みたいに、そこで買ってみんなで食べる雰囲気です。焼き鳥や牡蠣を焼いたり、ワインやおでんを出してワイワイ楽しくやってます。出店者をもっと増やしたいですね。」
―これからの“鮮魚一八”はどのようにしていきたいですか。
「たたきの本場である高知市にいつか出店したいです。高知市で認知度を上げるために去年は【人熱々料理店】というイベントにも出店しました。そこでグランプリをとり、【土佐の「おきゃく」】にも呼んでもらいました。高知市内にはたたきの人気店が集まってるので、5本の指に『鮮魚一八』がいつか入ったらいいなと思っています。」
鮮魚 一八
[open] 10:00-16:00
高知県土佐清水市養老238-18
[Tel] 080-6372-8690
[Instagram] @keiji.yamashita18
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※この記事は2024年1月発刊の「はらも~らVol.72」に掲載予定です。ぜひご覧ください。